2014年12月10日水曜日

自民単独で2/3の勢い?!

 解散総選挙になってから、腹立たしくて、選挙については触れまいと思っていました。しかし、自民圧勝の選挙情勢を聞くにつけ、怒りを通り越して、選挙後の社会情勢に暗澹たる気持ちになってきました。政治と私たちのかかわりについて、皆さんはどう考えているのでしょうか?まず、政党は、全国民の代表ではありません。社会を構成する特定の階層・特定の団体の利益代表です。自民党はもちろん財界と富裕者層の利益代表です。私たち労働者の代表ではありません。政治の影響で何が問題になるのか、広島県立大学の都留民子教授がある集会の中で公演されたお話の中に現在の私たちの状況が的確に示されていますので、一部、抜粋・要約させていただいて紹介します。
「かつては、貧困というのは、労働者階級の問題じゃないんだ、いわゆる生活保護を受けたり、弱者の問題、高齢者の問題だとか、障害者の問題だとか、そういうことを言われていたんです。 実は、貧困とはそうじゃない。貧困とはどうなのかというのは、これ有名なイギリスのタウンゼントという人がこういうことを言っているんです。『勤労者階級が生み出した社会的な富が不平等に分配された結果、これが貧困なんだ。』だから、私たち、貧困というのは勤労者階級の生活のバロメーターだとみています。
 勤労者階級が生み出した社会的富が分配されるということで、一時的な分配はもちろん賃金とか収入です。稼働収入と言われるものです。・・・・・・だから、資本主義は第一次分配の時で、必ず大きな不平等が出ます。・・・・・・ここで平等になることはない。ここで格差ができる。だから、ここであまりにもひどい格差を招いてはいけないというので最低賃金があるわけです。・・・・・・・第二次分配、再分配、これが社会保障です。・・・・・・・・たとえばイギリスなんかですとフランスも私たち研究していると、第一次分配の時じゃ、かなり不平等があるんです。・・・・・・ところが社会保障によって、みんな分配を、再分配をしていきます。たとえば医療は無料である。教育は無料である。幼稚園から大学まで無料である。それから、子育ても。ヨーロッパの場合は幼稚園から大学まで学費はいりません。そして、それプラス子ども手当がある。・・・・・・・子どもにはほとんどお金がかからない。子育てにお金がかからない。つまり、子育てが社会化されている。それから、老後は年金があります。ここも社会化されています。・・・・・・・フランスなんか生活保護をもらっている高齢者は一人もいません。年金があるからです。最低年齢年金があるから、3か月年金を拠出すればもらえる。」
「フランスとかヨーロッパは失業しても貧困にならないんです。これは第二次分配がしっかりしているからです。失業保険は、1日働いたら1日の給付、1年働いたら1年間失業保険をもらえる。50歳未満だったら最大3年間、50歳以上だったら5年もらえます。だから失業してもあまり怖くない。・・・・・・失業保険に労働組合がかなり関与しています。なぜ、このようなことをやるかというと、失業者をいかに保障するかというのが労働者階級にとってものすごく大事なことだからです。失業中の労働者が生活に困窮して、どのような労働条件でも附くようになって、どんな仕事でも就くようになる、窮迫販売すると、(全体の)労働条件が急速に下がるからです。日本の場合は非正規の労働者はヨーロッパの非正規とはずいぶん違う。4千数百万人の労働者のうち4分の1が200万円以下のワーキングプア、このような状況で失業率が(ヨーロッパより)低い、なぜ低いかというと窮迫販売してします。とにかく生活が困っているから。・・・・・・・労働者が身体をはって失業者の生活保障をするわけです。そうして全体の労働条件を上げていく。」
「だから、私たち社会運動というのは何かというと。自分たちが生み出した富を取り返す運動だ。企業から自立して、平等な社会ということは、賃金依存の生活を見直して、社会保障による生活の社会化。この時に国家の権力を使う。・・・・・・そして民主主義というのは、国民の声が反映できるんです。」

2014年11月5日水曜日

労働者派遣法改正案がなぜ労働者にとって「改悪」といわれるのか

 労働者派遣法改正案が11月5日に審議入りします。労働者側が、何故、この「改正案」を「改悪」だと言っているのか派遣職員のみなさんの立場に立って簡単にまとめてみます。

(専門28業種)
○ソフトウェア開発
○機械設計
○事務用機器操作
○通訳、翻訳、速記
○秘書
○ファイリング
○調査
○財務処理
○取引文書作成
○デモンストレーション
○添乗
○受付・案内
○研究開発
○事業の実施体制の
  企画、立案
○書籍等の制作・編集
○広告デザイン
○OAインストラクション
○セールスエンジニアの
  営業、金融商品の営業
○放送機器等操作
○放送番組等演出
○建築物清掃
○建築設備運転、点検、整備
○駐車場管理等
○インテリアコーディネーター
○アナウンサー
○テレマーケティング
○放送番組等の大道具・小道具
○水道施設等の設備運転等
  
 これまでの法律では専門28業種については、派遣期間の制限がなく、同一の人が無期限で派遣職員として働くことができるとされていました。しかし、改正案では、専門業種の規定がなくなります。つまり、すべての業種が最長3年までの派遣となります。ただし、人を変えれば、同じ業種で3年以上の派遣が可能となります。
 つまり、今、専門28業種で派遣されている人たちは、3年後には正規職員になるしか同じ職場で働き続けることはできません。経営者側はこれをもって「派遣職員が正規職員に登用される機会がふえる。」と言います。しかし、会社が正規職員として求めているのは、非限定的総合職員ですから、職種限定ともいえる派遣職員は、3年後にはいつでも入れ替えができる存在となり、雇用がこれまで以上に不安定になります。
 専門28業種以外の業種で派遣されている人たちは、これまで、派遣期間が最長3年で、派遣先は、それ以降同じ業種での派遣職員を受け入れることができませんでした。ですから、会社は同じ業務を続けるためには、派遣職員を直接雇用をしなければなりませんでした。 ところが、改正案では、3年たっても、人を変えれば同じ業種での派遣職員を受け入れることが可能となるため、派遣職員は自動的に雇止めとなります。
 もちろん、これは法律上の問題であり、これまでも、会社は、違法、脱法行為を繰り返してきましたから、実態としては、「改正案」のような働き方が蔓延していると言えるでしょう。しかし、今後は、それを「法律」で規制するということができなくなります。 
 改正案が成立したら、最初から正規職員を雇用せず、3年間だけ今の正規職員のような非限定的職員として派遣職員を受け入れ 、3年たって、会社にとって都合の良い管理職のみを正規職員に登用し、あとは雇止めなどということが可能となります。正規職員が増えるのではなく正規職員がゼロになる法案と言われるのはそのためです。
 

2014年10月14日火曜日

余暇の使い方

 今、世の中では、過労死防止に向けて長時間労働が取りざたされています。労働者保護規制を緩和するにあたって、国民的反感を回避するためには、まずは、眼前の疑念を取り払っておこうという下心が見え見えですが、お茶を濁す程度にしても、長時間労働が話題になることそのものはいいことだと思います。
 今、正規職員にとっての長時間労働は、もちろん、成果主義や能力主義の名の下で、使用者側によって強制されているものです。このような働かされ方が蔓延している中で、私たち労働者は、余った時間の使い方が分からなくなっているのではないでしょうか?
 休みが取れたらあなたは何をしますか? 「とりあえず、寝る。身体を休める」くらいでしょうか?だから、それ以上の余暇が欲しいとはなかなか考えません。それが今現在の要求だからです。
 もし、毎日、定時に帰ることができるようになり、有給休暇も十分に使えるようになったら、あなたは何をしますか? こんなことを考えることが必要だと思います。仕事以外にやりたいことがたくさんある人は、たくさんの時間が欲しいと思うのではないでしょうか?そういう人は時間の使い方が上手なのだと思います。ただし、余暇を楽しむためにはお金がかかります。生活ぎりぎりの賃金では「余った時間」を「楽しむ」ことなど到底できません。長時間労働からの解放は、低賃金からの解放と表裏一体です。
 そのためには、有期雇用や派遣労働、パート労働にもっと雇用における厳しい規制をかける必要があります。まず、基本時給は、正規職員より高くすること、有期雇用については期間を定めなければならない特別な事情があるときに限定すること、派遣労働については特別な能力を必要とする専門職に限定することなどです。
 このような基盤を作ることで初めて労働者は、使用者の意思ではなく、自らの意思で「働き方」を選ぶことができるようになるのではないでしょうか。

2014年10月3日金曜日

ないものねだり

 秋の風が爽やかな季節が来ました。毎朝、家を出るとき、庭の金木犀から何とも言えない香りが漂います。単に「いいにおい」ではなく、脳をくすぐるような「いいにおい」、一瞬懐かしく心地よい感覚にとらわれます。その香りは、私にとっては、おそらく、子どもの頃の秋のおもいでの香りなのだと思います。それは、ある特別な出来事の思い出ではなく、子供のころに体験した秋という季節のおもいでだろうと思います。毎年、秋には家族みんなで登る近くの里山で、香りを頼りにシメジを探し、見つけた時のうれしさ、その時に食べるささやかな弁当のおいしさ。小さな庭に七輪を出してさんまを焼く母の姿。たくさん飛んでいるのに振り回しても網に入らない赤とんぼ。心待ちにしていた運動会。秋の遠足。なぜか楽しかったことだけが「秋の香り」に閉じ込められています。
 だから、人は、「あの頃に戻りたい」とか「昔はよかった」というのでしょうね。でも、その時代の毎日の生活は決して楽しいだけではなかったと思います。むしろ、苦しかったのではないでしょうか?
朝から晩まで働いても食べることで精一杯、それは今と同じです。だけど、周りの人たちがほとんど同じ境遇だったので、その「苦労」は「我慢」できた。むしろ、情報伝達の手段が少なかったから、人々の「みんな同じ」という意識は「時の政府」や「財界」によってある程度作られていたということでしょうね。
 科学や技術の発展によって生産力が増大することは人々にとって決して悪いことではありません。人類全体の富は増大し、生存率は高まるからです。自然を理解し、自然を利用することなくして人類の発展はないと思います。社会のしくみが変われば、科学や生産力、そして富は、人々の手に戻ってきます。昔より今のほうが私たちが社会を変えることによって手に入れるものははるかに大きいのではないでしょうか。

2014年9月17日水曜日

労働組合の必要性について

 広島での大規模な土砂災害があって、地元の人間としてはなかなかブログを書こうという気にはなりませんでしたが、それでも、労使紛争は日常的に起きていますので、相談を通じて感じていることを久しぶりに書いてみます。
 匿名の相談で、労働基準法や労働契約法に違反する事案については、法律の内容を説明して労働基準監督署や労働局の総合労働相談センターに行くことを進めますが、申告には至らず、窓口で追い返されるケースが多発しています。これらの機関は、どちらかというと、最近、労働関連法を周知させ取り締まるというよりは、その欠陥(抜け道)を労働者に納得させるという経営側サイドの働きをしているようです。「それは民事の争いになりますので、こちらからは何とも言えません。まず会社に・・・を要求してみてください」という彼らの常とう句が飛び交っていることでしょう。
 広島在住の相談者の場合は、第三者機関に行く前に、私の所属する「一人でも加入できる」労働組合に加入することを進めます。そして、会社に対して、組合加入通知と要求書を提出して団体交渉を申し入れます。会社は組合が交渉を申し入れれば拒否はできません。また、組合に加入したが故の不利益扱いもできません。会社を辞めていても、会社との間に争いがあれば会社は同じように組合が申し入れた交渉を拒否できません。
 このような組合としての動きによって、少なくとも法律に違反するであろう事案については解決するケースが少なくありません。
 もちろん、賃金や労働条件を改善し、働きやすい職場を作るためには、すくなくとも過半数以上の労働者が加入する組合を作る必要があります。しかし、理不尽な労働問題を解決する最短で最良の方法は、労働組合に加入する、もしくは結成することだと思います。
 日本には労働者でありながら労働組合を批判する人たちがたくさんいます。既存の労働組合に多くの問題点があることは事実でしょう。でも、もし、あなたの会社に労働組合がないのなら、「自分たち」の労働組合を作ることを考えてもいいのではないでしょうか?是非、「労働組合を作りたいんですが」という相談を寄せてください。

2014年8月12日火曜日

8・6 8・9が終わって

 そろそろ盆休みに入る人もいらっしゃると思います。毎年、盆休み前のこの行事の期間中は様々なことを考えさせられます。テレビやラジオで企画制作された特集番組はそれなりの意図をもって放送されているのでしょうが、それよりもむしろ、朝早くから慰霊碑の前で手を合わせる人たちの一言には心を締め付けられる思いがします。人々は「平和」を語るわけではありません。被害を恨むわけでもありません。原爆の悲惨さを訴え、「戦争」を後悔し、自らを懺悔しているように見えます。
 私たちは、よく「平和を守る」といいます。「平和を守る」ことと「平和を享受できる」ことは違います。「戦争のない平和な社会」を守らなければ、「平和を享受できる社会」は来ないと思います。 この社会には平和でありながら平和を享受できない人たちがなんと多いことでしょう。だから、慰霊碑の前に訪れる人たちは「平和な今を守る」とは言わないのだと思います。
 一生懸命頑張っても将来の展望が見えない多くの若者たちが、決して恵まれてはいないが、そこそこ生活ができている中間層の人たちを「既得権益にしがみつく寄生虫」と非難し、中国や朝鮮の人たちを「日本を滅ぼす敵」とみなす、その追い込まれた心情には胸を痛める思いがします。それはこの社会には「守る」ものがないということであり、行きつく先は「破壊」だからです。でも、少なくとも私の周りには、苦しいけど自分の置かれている職場や環境をなんとか変えようと踏ん張っている人たちが何人もいます。その人たちの踏ん張りの向こうに「展望」が見えるといいですね。

2014年7月29日火曜日

労災に関するトピックス

 労災に関するトピックスを2件紹介します。
 6月27日、厚生労働省は、昨年度の「脳・心臓疾患・精神障害の労災補償状況」を公表しました。それによると、昨年の脳・心臓疾患の労災認定件数は306件となり、うつ病などの精神障害による労災請求件数は1409件と過去最多を更新し、認定件数も436件と昨年に次ぐ過去2番目となりました。2011年に労災認定基準が新しくなり、精神障害による労災認定がそれまでよりは迅速かつ効率的に認められるようになったことが一因ですが、一方で、仕事によるストレスでうつ病を発症する人が増えているといえます。引き金になっている要因の上位は、「仕事内容・仕事量の変化」「嫌がらせ・いじめ」などです。
 その1週間前の6月20日、「過労死等防止対策推進法」が可決、成立しました。 この法律では、過労死等の防止が国の責務として定められ、地方公共団体や事業主には対策に協力する努力義務が課せられています。実効性を確保するためには、まだまだ不十分ですが、過労死問題を国民的課題とするための第1歩を踏み出したといえます。

2014年7月22日火曜日

リコー遂に敗北宣言

 7月19日、リコーが退職勧奨を拒否して配転・出向を命じた100人の社員に対する命令を撤回しました。事の起こりは、2011年、リコーが10000人のリストラを宣言したことに始まります。会社は、希望退職に応じなかった45歳以上の社員1600名に執拗に退職を強要し、それでも辞めない社員を「追い出し部屋」や子会社に出向・配転しました。その中の2名が「不当人事」で会社を提訴し、今年1月に東京地裁で「配転無効」の判決が下されました。会社は控訴していましたが、上級審でも判決は変わらないと判断し、遂に、命令を撤回しました。
 今回の裁判とその後の経過は、「人事権」として広く認められている総合職の配転について、決して会社が思い通りにできるわけではないことを 明らかにするとともに、パナソニックやベネッセでも問題になっている「追い出し部屋」について警鐘を鳴らしました。
 労働問題での裁判が原告だけでなく広く苦しんでいる労働者に展望を与えることがあるということについても再確認させられました。
 久々にうれしい出来事でした。

2014年6月27日金曜日

傷病手当金の代理受領

先日、傷病手当金の代理受領について相談がありました。内容は「病気休職で傷病手当金を受給しているが、社会保険料等が滞納になっていたため、会社が、傷病手当金を代理受領することを申し入れてきたので、自分としては、よくわからず、了承して捺印したが、先月受給分は、滞納分として丸々控除された。生活が苦しく、今月受給分を早く支払ってほしいと申し出たが、月末の給与支払日まで払えないと言われた。どうすれば良いか」ということでした。
傷病手当金の代理受領は、本来、傷病手当金を申請してから支給されるまでの間に時間がかかるため、労働者の生活を配慮して会社がこれを立て替えておく場合があることを想定して認められています。差し押さえ債権の様な取り扱いは制度の趣旨に明らかに反しています。
賃金なら、社会保険や税金を控除して支給することは認められていますが、傷病手当金の場合は、預り金ですから、本人の同意なくして、会社が勝手に社会保険料等を控除することはできません。とりわけ、生活のための給付ですから、滞納があるからと言って、給付が0におなるような控除の仕方は公序良俗に反しています。また、本人から支払い請求があれば遅滞なく支払わなければなりません。
このようなことが続くようなら、次回からの申請時に、代理受領を認めないことを通告し、代理受領する場合の控除や支払いのルールつくりについて会社と交渉すべきです。

2014年6月19日木曜日

経営者側の暴論に反論する2

そして、生産性を上げるためには、労働市場の流動化、労働力の柔軟な移動を可能とすることが必要不可欠と言います。つまり、儲からなくなった部門を早くたたんで、過剰となった労働者をさっさと解雇し、企業の再編強化を図ることが重要だというのです。だから、労働者は、転職市場に耐えるだけのスキルと能力を常に磨いておき、その能力を必要とする企業へ転職すべきだということでしょう。しかし、本来、儲からなくなるということは、その商品なりサービスが供給過剰になっているということです。その道でスキルや能力を磨いてきた人たちにとって、そう簡単に自分の能力が生かせる転職先が見つかるものではありません。だからこそ、企業は雇用をした責任として、本人の能力を発揮できる場所を自らの企業の中で最大限確保しなければなりません。それが、現在の整理解雇の4要件の「解雇回避努力」というものです。企業の縮小や再編による整理解雇が有効かどうかは、現状では、1、経営上、人員整理の必要性があるかどうか、2、解雇回避のための努力をしたかどうか、3、人選は合理的であるかどうか、4、きちんと説明を行ったかなどによって総合的に判断されます。だから、今でも解雇ができないわけではないのです。きちんとした経営上の理由があり手続きを踏めば有効と判断されるということです。ところが、いつも問題になる解雇は、企業がきちんとしたことをしないために起こります。法律はこれを規制しているのです。金銭解雇はこの規制をなくすものです。労働者はつまみ銭でいつでも簡単に解雇されます。
残業代0も同じような視点で語られています。「生産性を上げるためには企業が利益を上げられるように、効率的な仕事をしなければならない。いつまでたっても段取りを覚えようとせず、ちんたら残業の繰り返しで小銭を稼いでいるようでは、転職市場での商品価値はゼロになってしまう。だから、1000万円のバーは、今後、800万、600万と徐々に下げていかなければならない」一体、長時間サービス残業や過労死の実態はどこに捨ててきてしまったのでしょう。この人たちには「加害者」の意識はまるでないのです。残業をしている人間は、ちんたら残業代を稼ぐ人間としか映らないのです。
金銭解雇のターゲットは若者と中高齢者です。若者は、解雇ができないから採用が少ないのだといいます。とりあえず採用して使い物にならなければ少ない金額で解雇できるようになれば採用は増えるらしいです。採用は増えても、失業者が増えたのでは全く意味がないですよね。中高齢者を一人解雇すれば優秀な若者を3、4人雇用できるそうです。その一人がこれまでどれだけ会社に貢献してくれたのか考えたことはあるのでしょうか。この社会はどうなってしまうのでしょう。

2014年6月18日水曜日

経営者側の暴論に反論する1

残業代0や金銭解雇が盛り込まれた政府の新成長戦略の素案が発表されました。これについて、経営側のコンサルタントは相変わらず暴論でこれを肯定しています。少し反論してみましょう。
前提を要約すると「日本の現役世代は先進国で一番頑張っている。就業者一人当たりの成長率は先進国で一番高い。問題は、高齢者の比率が他国に比べ高すぎるからである。少子高齢化時代を迎えた日本で必要なことは生産性の向上である。現役一人あたりのGDPを押し上げる以外に方法はない」
さて、そもそもなぜ日本は少子高齢化時代を迎えたのでしょう。長生きをしているお年寄りが悪いのでしょうか?日本の社会が「安心して子供を産み育てることができない社会」だからではないでしょうか。年功賃金制度が定着していた時代には、賃金にはある程度、配偶者や子供を扶養するための生活給が含まれていました。一方でその生活給を守るためにはいわゆる「無限定社員」として会社の言いなりになるしかありませんでした。そこに能力・成果主義が導入されて勤続や年齢で賃金が上昇する時代は終焉を迎えました。普通に、まじめに働く労働者の賃金は上がらなくなりました。そして、1955年以降、非正規労働者が雇用の調整弁として大幅に採用されるようになり、今や3人にひとりは非正規労働者、正社員になることすら難しいという実態です。いわゆる「中間層」は激減し、格差が拡大しました。子供ができない第1の原因は「経済的不安」です。そして、この日本には、その経済的不安を支える「社会保障」がないのです。しかも、多くの会社は、未だに、妊娠や出産を迎えた女性社員を何とか口実をつけてやめさせようとしています。もし、現役世代が先進国で一番頑張っているのなら、なぜ、それに見合う賃金が保障されないのでしょうか?なぜ、それに見合う子育て支援がないのでしょうか?だから、前提は「一生懸命頑張っている現役世代の労働者の賃金を上げるか、家族も含めた将来の生活を国が保障するしか方法はない」でしょう。だから、残業代0や金銭解雇はだめなのです。(つづく)

2014年6月9日月曜日

追い込まれる労働者

 解雇や雇止め事件が起きた時、最終的には、使用者に対し「地位確認」を求めて裁判で争うことになりますが、できることなら裁判を避けて解決する方法はないかと誰もが考えます。労働局のあっせんや労働審判は、金銭解決を望んでいるときには有効ですが、今の職場で働き続けたいと考えている人にはあまりむいていません。こんな時に、私たちは、地域の合同労組(一人でも加入できる組合)に加入して団体交渉を申し入れるようにアドバイスします。使用者側と争うと仮に復帰したとしても使用者側の報復が怖いと考える人が多いのですが、組合に加入している場合と組合に加入していない場合では様相は全く違ってきます。組合に加入していれば、少なくとも組合員であるが故の不利益扱いは不当労働行為という法律違反に該当します。また、パワハラやいじめが起きた時に組合として交渉を申し入れれば使用者側はこれに応じなければなりません。交渉へは、必ず、合同労祖の役員が出席しますので恐れることはありません。組合があれば、少なくとも職場は無法地帯ではなくなります。
 組合と交渉して、それでも使用者側が不当な解雇や雇止めを強行した場合に裁判になります。しかし、裁判を決意することは、本人にとってなかなか大変なことです。地方の小さな町ではなおさらです。次の就職に不利になるのではないか、家族に迷惑がかかるのではないか、などと考えると簡単には踏ん切りがつきません。特に賃金の安い非正規労働者の場合は、「そこまでしがみつかなくても」と考えてしまします。自分に正義があってもやはり追い込まれるのは労働者に見えます。しかし、結果はどうなろうと「この解雇(雇止め)はおかしい」と行動を起こしたことには大きな意味があります。少なくとも使用者側は、これからは、できる限り違法な行為を避けるようになるでしょうし、もし理不尽な行為を続ければ第2の「あなた」が生まれるに違いありません。このような攻防を通して職場は少しずつ民主化されていくのだと思います。追い込まれていくのは使用者側も同様です。
 

2014年6月3日火曜日

働く人のための電話相談リニューアル

 6月になりました。「働く人のための電話相談」も皆様方のご意見をいただきながら、6月からリニューアルしました。大きな変化は、会員登録や事前のポイント購入がなくなり、面倒な入力作業から開放され使い易くなったことです。また、カウンセリング、法律相談、話し相手サービス等の相談料もお手頃になっています。
 労働相談はもちろん無料ですので、相変わらず、全国の皆さんから電話がかかってきます。先日は「1年ごとの有期雇用で4年間働いてきたが、契約期間満了で次の更新をしないと告げられた。どうすれば良いか」という相談を受けました。
 改正労働契約法第19条では、有期雇用で働いている労働者が、期間の定めのない労働者(正社員)の雇用契約と同視できる場合、あるいは、雇用の継続に期待することに合理的な理由があると認められる場合は、労働者から雇用継続の申し入れがあれば、使用者は従前と同じ労働条件で雇用を継続しなければならないとされています。
 では、「期間の定めのない労働者の雇用契約と同視できる」とはどういうことか 。まずは、契約が反復更新され、ある程度長期にわたって雇用が続いていることです。更新回数や雇用期間の基準などは示されていません。次に、仕事内容が臨時的なものではなく恒常的なものであり、正社員と仕事内容がほとんど変わらない場合です。さらに更新手続きが厳格に行われていなかった場合なども「期間の定めのない」黙示の契約が成立していたといえます。
 雇用継続を期待する合理的な理由とは、例えば、管理職から「雇止めにすることはない」と言われていたり、周りに今まで雇止めにされた人がいない場合などです。
 まずは、念のために文書で「雇用継続を望む」旨、会社に通知することです。これは、雇止めの通告を受けた後でも構いません。同時に雇止め理由を文書で提出するよう求めましょう。

2014年5月22日木曜日

貧困の問題について

 アベノミクスが日本中を闊歩する中で、「貧困」について語られることがずいぶん少なくなったように思われます。実際は、日本経済が一時的に好転しているといいながら非正規労働者は確実に増えています。
 貧困を語るとき、皆さんは、ホームレスや生活保護受給者の方を思い浮かべがちだと思いますが、貧困は決して、いわゆる生活弱者の問題ではないと思います。貧困率は、ちょうど所得が真ん中の世帯の人たちの半分以下の所得の世帯がどれだけいるかではかられ、日本は、16%弱です。貧困率はアメリカが17%とダントツで、日本は2番目です。つまり、日本は、相対的な貧困大国なのです。日本では7人にひとりが貧困です。だから、貧困の問題とは「格差」の問題だと思います。
 格差で第1に問題にしなければならないのは、もちろん賃金・労働条件です。全く同じ仕事をしながら、雇用形態が違うというだけで差別され続ける非正規労働者の実態には目を覆うものがあります。そして、今一つ問題にしなければならないのは社会保障です。私たちが生み出した富を再分配する仕組みが社会保障です。
 集団的自衛権行使の報道が過熱する中で(もちろん大変重要な問題ですが)介護・医療に関する法改正が衆議院の厚生労働委員会で強制採決されました。要支援1、2について、均一のサービスを廃止し、その運用を自治体にゆだねるということです。財政基盤の脆弱な自治体ではいったいどうなるのでしょう。高齢者の介護保険利用料が一定の年収があれば、2割に増えます。特定養護老人ホームへの入所条件が厳格化されます。
 これから、社会保障はますます削減されていく方向になると思います。その中で、孤独死や高齢者自殺も増えていくことが懸念されます。「一方における富の集積と他方における貧困の増大」その仕組みを何とかしたいものです

2014年5月8日木曜日

軽んじられる生命

 毎日のように事件や事故がマスコミによって報道されます。事件や事故の容疑者や当事者は、就業態度や生活状況、家族関係、友人関係、生い立ちまで暴かれ、それらを引き起こした原因が「人格形成」の過程にあるとして個人的責任を徹底して追及されます。このような時に「社会に問題があるのでは」などというと、必ず「なんでも社会のせいにするから、個人の責任を放棄する人たちが増える。責任回避だ」と罵倒する声が聞こえます。
 もちろん、私たちが社会的動物である以上、社会の最低限のルールさえ守れないというのは人として大きな問題があると思います。しかし、それらの問題を引き起こす背景については同じように糾弾されなければなりません。
 先日、ある看護助手から労働相談がありました。看護助手として雇用されて間もないが、研修を受けることもなく、現場で仕事を任され、知らないうちに医療行為をしていた。そのことを看護師に摘発され懲戒されそうだ、というのです。これは犯罪です。しかし、責任は犯罪を犯した個人よりもそういう状態を放置している国や病院にあります。切羽詰まった病院では、いつ医療ミスが起きてもおかしくない状況が続いています。「犯罪者が出るのは時間の問題」と言って辞める看護師も少なくありません。
 セウォル号事件が起きて、最初に避難した乗組員全員が逮捕されました。最近、ようやく会社の実態が暴かれ始め、代表も逮捕されました。船が過積載の状態にあり沈没の可能性があることを知っていたら、あなたならどうしますか?もし、乗客の生命を大切にする人たちなら、まず、そのことを内部告発するのではないでしょうか?それができない人たちには乗客の生命を最優先するという選択肢は最初からないのです。
 JTBの社員はなぜ自殺する狂言までしてその場をしのごうとしたのでしょうか?「ミスを犯すような働かされ方だった」などという言い訳を世間が許してくれないからです。マスコミは、中国で犯罪や事件が起きると「背景には格差問題がある」と体制の問題にしますが、日本ではあくまで個人の責任にされるのです。利益を最優先する社会では、やはり、人の生命は二の次なのでしょうか。

2014年5月1日木曜日

集団的自衛権で安倍首相は何を守るのか?

 政府の有識者懇談会は、他国と連携することで「国の安全」を守れることがあるとして、必要最小限度の自衛権のなかに集団的自衛権を含めないのは適切ではないとする見解を報告書に盛り込む方針を固めました。集団的自衛権については、賛成、反対それぞれの立場の方々からコメントが寄せられていますが、少し違った角度から議論に参加してみたいと思います。
 賛成派の皆さんは、よく「国を守る」ということを「家族や故郷を守る」ということ の延長線上に於いて自衛隊を語ります。まるで、反対派の人たちを「日本や日本人を守ろうとしない非国民」と言わんばかりの勢いです。
 しかし、安倍首相や自民党が守ろうとしている国家とは、私たちの家族やふるさとのことなのでしょうか?今、働く人たちや高齢者、障がい者の実態を見ていると昔読んだエンゲルスの「家族、私有財産及び国家の起源」の次のような一節を思い出します。



「国家は階級対立を抑制しておく必要から生まれたものであるから、だが同時に、これらの 階級の衝突の只中で生まれたものであるから、それは、通例、最も勢力のある、経済的に支配する階級の国家である。この階級は、国家を手段として政治的にも 支配する階級となり、こうして、被抑圧階級を抑圧し搾取するための新しい手段を獲得する。例えば、古代国家は、何よりも先ず奴隷を抑圧するための奴隷所有 者の国家であった。同じように、封建国家は農奴的農民と隷農を抑圧するための貴族の機関であったし、近代の代議制国家は、資本が賃労働を搾取するための道 具である」
 2013年4月、バングラディッシュの首都ダッカ近郊で8階建てのビルが倒壊し、ビル内で働いていた労働者1127人が死亡する事故が発生しました。そのビルでは欧米の有名ブランドの既製服を製造する縫製工場が入居していました。命を軽視した工場建設や防火設備の不備が指摘されましたが、問題はその背景にある巨大企業の支配構造です。
 ブランド会社は自社工場を持たず、こうした国の製造業者と契約し、デザインから材料、納入価格、数量などを指定します。製造業者は品質や納期を指定通りに守らなければ切り捨てられ労働者は路頭に迷うことになります。ブランド会社は何か問題、例えば、事故や労働争議が起これば、さっさと撤退します。日本のブランド会社も全世界で同じようなことをしています。まさに、現地の労働者の犠牲のもとに最大限利潤を追求しているのです。だから、インドや中国で日系企業に対する争議が起こるのです。これが、産業のグローバル化ということです。安倍首相やオバマ大統領が守ろうとしているのは、国民の命や国民の権利ではなくこのような企業の権益を守るための秩序ではないでしょうか?労働者に国境はありません。

2014年4月23日水曜日

労働組合結成の成果

 今年に入って、ある福祉職場で労働組合が結成されました。人数は、まだ過半数に満たない中での旗揚げでしたが、使用者側との交渉を重ね、以下の事項について合意形成を図ることができました。

(労使関係について)
1、組合を団体交渉権限を持つ労働組合と認め、相互信頼に基づく正常な労使関係を築く。
2、労働条件に関する諸事項については、今後、すべて組合と協議し・交渉決定の上実施する。
3、組合員の解雇・処分、事業閉鎖や吸収合併等、労働条件に重大な影響のある事案について  は、事前に組合と協議・交渉決定し、一方的に行わない。
4、団体交渉に於いて確認した事項は、協定書を作成し、双方、署名・捺印を行う。
5、組合員の組合活動の自由を確認し、組合活動をしたことをもっていかなる不利益扱いもしない。
6、組合の施設利用に関しては、業務に支障のない限りこれを認める。

(労働条件他について)
1、業務量を常に把握し、適正な人員配置に努める。
2、賃金規定、昇給・昇格のルール、退職金規定、有期雇用者の昇給について早急に整備する。
3、透明性と公平性をもって人事管理を行う。

具体的な成果はこれからですが、まずは、労使対等の立場にたてたということです。使用者側の報復に恐れをなしていた過去からの解放です。これが一番ですよね。

2014年4月21日月曜日

ブルーマンデイ・・・出社拒否症候群

 月曜日の朝、会社に行くのが辛いと感じる人は結構多いと思います。日本では、月曜日の朝に重要な会議があったり、次から次へと1週間の打ち合わせが続くため、なおさらでしょう。でも、一旦お仕事モードに入るとブルーマンデイも何とか克服できる、これが一般的だと思います。
 しかし、4月は大きく環境が変わる月でもあります。新しい仕事や新しい人間関係になかなか慣れず、日々ストレスが蓄積されていきます。当然、仕事もうまくいかず、ミスも増え、自分に自信が持てなくなります。そして、ついには、出社時間が近づくと急に動悸が激しくなったり、通勤途上で吐き気がしたり、おなかが痛くなったり、身体に様々な出社拒否の症状が出るようになります。誰でも許容量を超えるとそうなる可能性があります。この状態になるともう、「気分」の問題ではありません。心の病にかかっています。病は治さなければなりません。無理をしてはいけません。自分が怠け者だとか考えないで、心療内科に行ったり、カウンセリングを受けたりして、まず、仕事ができる状態を取り戻しましょう。

2014年4月17日木曜日

辞めさせてもらえない?

 最近、「辞めたいと思っているのに会社が辞めさせてくれない。どうすれば良いか?」という相談が数件続いたので、少し説明をしておきます。基本的には、使用者が労働者を解雇するときは、法律の制約を受けますが、労働者は労働契約を一方的に解約することができます。これを一般的には「辞職」と呼んでいます。「辞職」は原則自由であり、使用者の承諾は必要ありません。ただし、期間の定めのある有期雇用の場合は、その期間労働者は「やむを得ない事由」がある場合にのみ、直ちに労働契約を解約できます。もちろん、使用者もその期間の雇用を保障しなければなりません。ほとんどの場合は、この「やむを得ない事由」として認められるでしょう。そして、雇用期間が1年を超えれば、期間の定めのない労働者と同じで、「辞職」の自由があります。
 では、どうやって「辞職」の意思を明確にするかですが、退職願ではなく、退職届を提出することです。その中に、○○月○○日を持って退職すると明記する必要があります。ただし、民法では627条で 原則として2週間の予告を要するとなっていますから、提出後2週間で効力が成立することになります。就業規則や労働契約で1か月前に予告となっている場合、退職の自由を不当に拘束しない限り、そのくらいの範囲なら有効とされるケースもあると思います。ただ、ほとんどの労働者は有給休暇が残っていると思いますし、有給休暇を申請すれば会社は拒否できません。次の仕事が決まっている場合や体調不良は「やむを得ない事由」ですから、就業規則等には縛られず、退職することができます。
 使用者が脅すのは「損害賠償を請求する」ですが、もちろん悪質な会社は損害賠償を請求してくるケースもありますが、それが認められることはほとんどありません。むしろ、会社が退職を認めなかった期間の賃金支払い命令が出されることすらあります。
 何も恐れることはありません。自分の意思を明確にしましょう。

2014年4月11日金曜日

配転拒否について

 今日は、配転について少しふれておきたいと思います。配転は、今や正規職員の常識となっています。配転命令が出され、これに納得できず拒否した場合、業務命令違反で解雇されることもしばしばあります。したがって、この場合、一旦配転を受け入れて、その上で配転命令の効力について争うという方法が一般的です。しかし、どうしてもこれを受け入れられない場合もあります。特に介護や育児が必要で転勤や残業に耐えられない場合です。
 そこで、配転がどういう場合に無効になるかチェックしておきましょう。まず、雇用契約で職種や勤務地が限定されていると認められる場合は配転は労働者の承諾が必要です。一方的な配転命令は無効です。そうでない場合は、労働契約や就業規則でその根拠が明確にされていることが必要です。たとえば、「会社が必要と認める場合は配転を命ずることがある」などです。
 しかし、配転命令権の根拠があったとしても、法律に違反する場合(たとえば組合活動を理由とした配転、就業規則の条項に違反している配転)、権利乱用があった場合は無効となります。
 権利乱用か否かの判断は次の要素を勘案して判断されます。
1、配転を行う業務上の必要性の有無
2、人員選択の合理性
3、配転命令が不当な動機や目的でなされているかどうか(たとえば、嫌がらせによる事実上の退職強要)
4、労働者に負わせる不利益の度合い
5、配転に向けた手続きが取られているかどうか(配転理由をきちんと説明しているか、充分に考える時間を取っているか)
 全体的には、配転命令を認める判決が多いのも事実です。しかし、黙っていても何も前進しません。少しの光明は、育児介護休業法26条で、育児・介護が必要な労働者についてはその状況を配慮することが使用者に義務つけられたことです。

2014年4月9日水曜日

ホームレスになるということ

 最近、ホームレスになるということが他人事とは思えなくなっています。自分がホームレスになるとは考えもしなかった人達が、気が付いたらホームレスに転落していたという話をよく耳にします。そこそこ年収を稼いでいた部長クラスの管理職が、経営悪化を理由に退職勧奨され、その時は「ピンチはチャンス」とばかりに転職を選んだが、転職先はなかなか見つからない。やむなく1年契約の契約社員として中小企業に入社、収入は1/3に。しかし、家のローンは残っており、子供の養育費にもお金がかかり、一度身についた中流生活はなかなか引き下げることができない。そうこうするうちに数年がたち退職金も底をついてついつい消費者ローンに手を出す。借金が徐々に膨らんで、とうとう妻は家を出ていく。借金の支払いのために家を売り、賃貸に入居しようとしたが入居審査に通らず、野宿の生活が始まる。そして、そこから抜け出せなくなってしまった。
 これって誰でもホームレスになりうるということですよね。まさに紙一重で持ちこたえているともいえます。各地域の反貧困ネットワークの方たちがこうした人たちを何とか支えようと相談活動やシェルターと呼ばれる一時避難施設を提供しています。
 先日ある仲間が相談に来ました。一人暮らしでワーキングプア(毎日真面目に1日10時間働いています)ですが、祖父が残してくれた土地と家があるため、貧乏でも生きていけます。土地と家の権利は叔父さんと半分半分でしたが、叔父さんが不動産会社に権利を売ったために今不動産会社と共有の住居をめぐって争いになっています。不動産会社の最終的な目的は彼の持っている土地と家の権利を売れということでしょう。この時もやはり「ホームレス」という言葉が頭をよぎりました。やはり、住む家を確保するということは、私たちにとっては大変重要です。住む場所がなくなったら就職すらできません。そして、独身やワーキングプアが住む場所は徐々に減り、貧困ビジネスが横行するのです。

2014年4月7日月曜日

ひょっとしてアベノミクスは寒い

 先週、私用で沖縄に行ってきました。そのため、電話相談もお休みさせていただきました。沖縄は暖かく天気もまずまずで快適に過ごしましたが、帰って来ると真冬に逆戻りしていました。桜も満開になり、春がようやく来たと思ったら、この天候。消費税が季節まで冷やしたのかと暗澹たる気持ちにさせられました。
 誰もが「アベノミクス」による景気回復に期待したと思います。それは、自分たちの生活が改善されることへの期待にほかなりません。
 アベノミクスの基本的な理論は、「大企業や富裕層が儲かれば、その成果が国民にも滴り落ちる」というトリクルダウン説です。だから基本政策は大企業、富裕層の支援です。
 皆さん、賃金は上がりましたか?生活は少しは楽になりましたか?3%はボディーブローのように徐々に効いてきます。アベノミクスは気分だけ「春」を感じさせてくれました。そして、次はこれまでよりもっと寒い冬を準備しているのではないでしょうか?
 私たちは本当の春を望んでいます。

2014年3月31日月曜日

労働審判

 先週、労働審判員の研修会に1泊2日で行ってきました。労働審判制度は、個々の労働者と事業主との間に生じた労働関係に関する紛争を,裁判所において,原則として3回以内の期日で,迅速,適正かつ実効的に解決することを目的として設けられた制度で,2006年4月に始まりました。
 裁判官と労使それぞれ1名の労働審判員の3人で審理を行い、それぞれの主張を整理しながら、もし、話し合い解決ができそうであるなら調停を行います。話し合い解決が難しいようであれば、判決ともいうべき審判を行います。ただし、いずれか一方から異議申し立てがあれば本訴に移ります。
 申し立ては自分でもできるため、弁護士に要請しなければ費用も安くつきます。しかし、3回という期限付きであるため、争点を整理し、自らの主張を立証するのはかなり骨が折れます。複雑な内容になると審理が終了になることもあります。70%から80%が調停による金銭解決になるため、解雇の場合、復職を希望する人にはあまり向かないかもしれません。
 個別労使紛争を解決する一つの手段として頭に入れておいたらよいのではないでしょうか。

2014年3月26日水曜日

相談ネットワークについて

 昨日、1か月ぶりにカウンセラーの皆さんと意見交換会を行いました。その中で、あるカウンセラーの方から「この企画を立ち上げた原点を忘れるべきではない」というご指摘を頂きました。
 「働く人のための電話相談」を始めるときに強く思っていたことは、現代のように疲弊した社会の中では、労働相談だけでは相談者の悩みに対応できないということでした。
 賃金や労働条件、職場環境を改善できたとしても、これまでの働き方のために心の病にかかった人たちはその障害が故になかなか職場復帰が出きず、悩みはさらに深まります。発達障害で職場でトラブルを起こしてしまう人たちは、働き続けるために障害と向きあわなければなりません。本人だけではなく、周りの人たちも同じです。障害を持った人たちが再就職をしようと思うと就労支援が必要です。こうして現実に対応するためにはどうしても産業カウンセラーの皆さんの協力が不可欠です。
 仕事がなかなか手につかない原因が、借金であったり、離婚の問題であったり、交通事故の事後処理の問題であったりして、それが、仕事上のミスや事故、勤怠に影響してトラブルが発生することもあります。ここはやはり弁護士にお願いするしかありません。個別労使紛争が裁判になった時も同様です。
 私たちは、どうしても問題解決に追われて相談者の話をじっくり聞くことができていません。こんな時にだまって話を聞いてくれる人がいたらきっと事前に問題が解決することもあるのにと思うこともしばしばあります。
 相談員同士が、それぞれ抱えている問題を解決するためにネットワークを作っていく。そして、そのネットワークを積極的に利用する、きっとそれが「働く人のための電話相談」の原点なのだと思いました。

2014年3月24日月曜日

春に想う

 先週の後半は立て続けに相談がありました。皆さんの身に降りかかっている問題が無事解決の方向に向かっているのかどうか心配しています。もし事態が悪化しているようなら再度連絡してください。
 今日、西日本は晴天です。気温もぐんぐん上がり、事務所の近くの公園では桜が花を開き始めました。窓から見えるマンションにも暖かい日差しが降り注ぎ、ベランダに干された洗濯物も心地よさそうに見えます。
 春は、1年のうちで一番周りの環境が変化する季節だと思います。不安と期待が交錯する季節でもあります。社会の動きをみていると期待よりも圧倒的に不安の方が大きいと感じます。それでも、春は、凍てつく冬に比べて少しだけ楽観的な気持ちになれます。自然は心と体に少なからず影響を及ぼします。遺伝子のなせる業でしょうか?ともあれ、私たちは突きつけられる現実にただ悲観するのではなく、楽観的に対応し、状況を変えていくことができるのだと思います。
 そういえば、朝ドラ「ごちそうさん」が今週で終わります。配偶者がはまって毎日見ていますので、休みの日の土曜日の朝だけ一緒に見ていました。1週間のあらすじはよくわからないのですが、見るたびに、大切な人や大切なものが主人公からひとつずつ奪われていく、普通の主婦が普通の主婦ではいられない、気が付けばそんな時代になっていた、そんなメッセージを感じました。その時代、国民は、戦争が自分たちに何をもたらすのかよくはわからなかったのだろうと思います。でも、今は違います。もう私たちは戦争を経験しているのです。「二度と過ちは繰り返すまい」

2014年3月20日木曜日

労働基準監督署に行くとき

 ページに労働基準法違反申告書の記載例をアップしておきました。労基署に行くときは、できるだけ申告書に記入し、捺印の上、給料明細や証拠書類(メモや日記)を持参しましょう。労基署では結構受付窓口で追い返されるということもあります。窓口で色々相談するのではなく、「申告します。監督官はいらっしゃいますか」と本題に入るほうが良いと思います。相談なら監督署より労働局の総合労働相談センターのほうが良いかもしれません。そこで、まずは、あっせんではなく「助言・指導」をしてほしいと頼んでください。何とかなるケースもあります。
 申告書はネットでダウンロードできると思います。

2014年3月18日火曜日

年俸制について

 年俸制についての相談がありましたのでコメントさせていただきます。
 皆さんは、年俸制というと、プロスポーツ選手のように、毎年契約更改されて合意が成立しなければ自由契約になると思っていませんか?サラリーマンの年俸制は、賃金が1か月単位ではなく1年単位で決まるというだけで、もちろん、労働基準法や労働契約法が適用になります。したがって、毎月決まった日に賃金を支払わなければなりませんし、時間外割増し賃金も支払わなければなりません。個人事業主ではないのです。
 問題は、新年度の賃金について合意が成立しない場合です。裁判所の見解は次のようになっています。
 期間の定めのない雇用契約における年俸制において、使用者と労働者の間で、新年度の賃金額についての合意が成立しない場合は、年俸制決定のための成果・業績評価基準、年俸決定手続き、減額の限界の有無、不服申し立て手続き等が制度化されて就業規則等に明示され、かつその内容が公正な場合に限り、使用者に評価決定権があります。このような要件が満たされていない場合は、労基法15条、89条に照らして、特別な事情が認められない限り、使用者に一方的な評価決 定権はないと言えます。
 このような場合、年俸額で合意が成立しない時は、使用者は前年度の年俸額をもって次年度の年俸額としなければなりません。
したがって、重要なことは、会社にきちんとした合理的「規定」が存在するかどうかです。社長が評価し決定するでは通用しません。参考にしてください。

2014年3月14日金曜日

自治体の臨時・非常勤職員

 皆さんは、自治体に働く臨時・非常勤職員の事をご存知でしょうか?今、全国の自治体には約70万人の臨時・非常勤職員と呼ばれる人たちが働いています。実に自治体職員の4人に一人はこの人たちです。職種によっては、半数以上が臨時・非常勤職員というケースもあります。例えば、保育士さんだと52.9%、図書館職員は67.8%、学童指導員はなんと92.8%が臨時・非常勤職員です。この人たちの年収は、ほとんどが200万円以下で、官製ワーキングプアと呼ばれています。しかも、専門職の場合は正規職員と全く同じ仕事をしながら、雇用(任用)形態が違うということだけで賃金・労働条件に大きな格差があるのです。
 彼女、彼達は、一応自治体職員ということで、労働契約法や育児・介護休業法、男女雇用機会均等法など民間に適用される労働関係法が適用除外となっています。自治体当局はそれをいいことに、ほとんど無権利状態で彼らを都合よく使ってきました。
 国が「小さな政府」の方針を掲げ、自治体の定員削減を躍起で進めてきました。国民の多くも「税金の無駄使い」といってこれに賛成してきました。しかし、公共サービスは、少子高齢化や地方分権によって縮小するどころかその守備範囲は拡大し続けています。その結果、自治体は、定数外職員である臨時・非常勤を採用(任用)することで、体面を保ってきました。公共サービスは今や臨時・非常勤職員なしには保てないのです。
 臨時・非常勤さんの賃金は人件費ではなく物件費です。「人間扱いされていない」のです。税金の徴収を担当する非常勤職員さんが、低賃金のため税金を納められないという笑い話のようなことも起こっています。
 こんな川柳があります。「安月給されど仕事はプロ意識」「気が付けば常勤教える非常勤」自治体はまさに、彼女、彼たちの「職業的倫理観」で持っていると言えます。
 何かがおかしいですね。
 

2014年3月13日木曜日

私たちは微力ではあるが無力ではない

 東日本大震災から3年目を迎えた3月11日、地元のアナウンサーがラジオで「私たちは確かに微力ではあるが無力ではない」と復興に向けた支援を呼びかけていました。いい言葉ですね。日ごろお茶らけた感じの彼がこれまでずっと支援活動を続け、そして、リスナーに呼びかけている姿に少し感激しました。
 そういえば、彼は、東京オリンピックが決まった翌日に、「東北は3年がたとうとしているのに未だ復興はならず、なのに、オリンピックならわずか6年でやり遂げられるというのか。納得できない。まずは復興ありきではないのか」と少し怒っていました。
 今起きている様々な出来事を私たちがどう考え、どう見ていくのかは大変重要なことだと思いました。

2014年3月11日火曜日

ある仲間のつぶやき

 今日、ある塾の先生から相談がありました。正社員として採用されていますが、給料に残業代が含まれていると言われており、時間外手当や休日出勤手当は一切つかないとのことです。就業規則や賃金規定は見たことがなく、雇用契約書ももらっていないそうです。自分は塾はそんなものだと思って慣れてしまっているが、若い先生が可哀そうだというわけです。まず、雇用契約書や就業規則、賃金規定にその旨記載されていなければ、このような「みなし残業」は通用しません。
 就業規則等に、「○○手当」「時間外手当40時間分の賃金を含む」などの記載が必要です。この場合、手当が40時間分の時間外割増賃金より少なければ、使用者はその差額分を支払わなければならず、また、40時間を超えた時間外手当は当然別途支払わなければなりません。規定があるからと言ってすべてがチャラになるわけではないのです。
 話は変わりますが、先般、私が所属するコミュニティーユニオンで 職場で一人だけで組合加入している人達が集まって交流会を行いました。その中で、ある男性の仲間が・・・彼は、組合に加入する前に働きすぎでうつ病を発症し、会社を退職しました。「このままでは殺される」と思ったからです。その後、あらゆる方法で完全治癒を目指しましたが、いまだ治らず、したがって、就職もできないままです。・・・「もし、もう少し早くこの組合に出会っていれば、僕の人生は変わっていたのに」とつぶやきました。みんな大変な思いをしながら、この社会を生きています。でも、まだ、遅くはない!

2014年3月10日月曜日

労働関係法の規制緩和について

 JOB型正社員、地域限定正社員、時間外労働の規制緩和、解雇の金銭解決制度、労働者派遣法の期間制限の緩和等々、労働関連法案の規制緩和が取りざたされています。もっともらしい理由がついていますが、いずれにせよ、経営者にしてみれば、今より簡単に解雇ができ、、総額人件費を抑制でき、人員調整が簡単にでき、といいことだらけです。しかし、皆さん方にとっては、「あんまり関係ないなぁ」というのが実感ではないでしょうか?なぜなら、こうしたことは、既に皆さんの職場の中で日常茶飯事になっているからです。だから、「規制があることすら知らない」という人も多いことでしょう。会社は、違法・脱法行為を繰り返し、労働者を守るためのあらゆる規制をないがしろにしてきました。
 しかし、規制が法律によって緩和されるということは、私たち労働者にとっては大変なことです。なぜなら、これまでなら、矛盾を感じて、第3者機関や労働組合に訴えて、なんとか解決できたことが、これからは、「合法」になり、救済されないということになるからです。
 「気が付いたときは遅かった」そんなことにならないようにしたいものですね。

2014年3月7日金曜日

能力・適性欠如を理由とする解雇

 能力や適性欠如を理由とする解雇が頻発しています。世間の常識では、「能力がない人間は辞めさせられても仕方がない」と思われています。果たしてそうでしょうか?
 まず、解雇が有効かどうかは就業規則上の解雇事由に該当するかどうかで判断されます。つまり、就業規則で根拠のない解雇は無効だということです。仮に、就業規則上、解雇に該当するとして、私たちは、このような解雇をどう考えたらよいのでしょうか?
 経営者が「能力が不足している」と考える従業員とは、つまるところ、自分が求める水準に達していない従業員の事です。したがって、経営者が「同じ給料で、彼よりもっと成果を上げてくれる人がいるに違いない」と思えば、すべての従業員が対象です。
 このような身勝手な判断が社会通念上許されるはずはありません。裁判所は、今のところまだ、能力・適性欠如に基づく解雇は厳しく制限しています。単に人より能力が劣るということだけでは解雇は認められず、教育訓練や他の部署への配転など、解雇を回避するための最大限の努力が求められます。だから、会社は、パワハラやいやがらせをとおして「自主退職」を迫るのです。
 会社に不穏な動きがあったら、その言動をきちんとメモしておきましょう。そして、もし、「解雇」と言われたら、納得できない旨明確にし、解雇理由を文書で明らかにするよう求めましょう。

2014年3月6日木曜日

多様な働き方について

 先日、大学を卒業して1年目の青年が相談に来られました。彼は、卒業後ある会社に正社員として就職したものの、その会社は、毎日、全員が正座して会議を行い、足がしびれて体が揺れると、大声で罵倒され、社員がまるで奴隷のような扱いを受けるそうです。まさにブラック企業です。ほとんどの新入社員は、1週間くらいで辞めたが、彼は3か月頑張ったのだと言います。しかし、耐えられなくなって彼もまた、会社を辞めます。その次に彼が選んだ雇用形態は正社員ではなく、有期雇用の契約社員でした。「もう正社員になるのは怖い」というのが、彼の率直な気持ちです。彼の今の目標は「1年間辞めずに頑張る」だそうです。
 はて、この話は、一部のブラック企業の話なのでしょうか?非正規労働者の話をするとき、よく出てくる意見は、「彼らは自分でそういう働き方を選んで、納得の上で働いているのだから、賃金や労働条件が悪くても仕方ない」 です。もちろん、正規職員の採用がなかったという人もかなりのパーセンテージで存在しますが、半数以上の人は、確かに自分で選んでいます。
 なぜ、非正規の道を選ぶのか?ブラック企業とはいえない会社の正社員の皆さんの働き方はどうなっているでしょうか?日々、ノルマと責任を負わされ長時間労働は当たり前、広域配転も当たり前、介護が必要な親がいようが、幼い子供がいようが関係なし。あらゆる仕事に対応しなければ「能力がない」と査定され、賃金は下がり、あげくのはて「リストラ部屋」へ。そして、それは、今の日本の正社員の世界では常識なのです。だから、そういう働き方ができない人たち、特に、家事、育児を一手に任されている女性は、非正規の道を選ぶしかなかったと言えます。もっとも、今は、家の事も仕事もこなす女性もいますが、それはごく一部で(ずいぶんもてはやされますが)、ほとんどの女性にとって、男性と同じ能力社会で働くことは過酷なことなのだと思います。
 「多様な働き方」が本当の意味で選択できるようになるためには、正規職員の「無限定」な「働き方」を変えていくしかないのではないでしょうか。

2014年3月5日水曜日

まずは、自己紹介

 老舗コミュニティーユニオンの役員として、この間、多くの労働相談を受けてきました。今はユニオンへの相談と「働く人のための電話相談」からの労働相談を受けもっています。
 相談を受けながら、いつも思うことは、今の社会では、「普通の人」が「普通に働いて」「普通に生活する」ことそのものが難しくなっているということです。
 エンプロイアビリティーの高い人だけが生き残っていくことを公然の倫理とする社会の中で、職場では理不尽がまかりとおっています。 まるで、理不尽な扱いを受けている側が悪者であるかのように。
 しかし、泣き寝入りする人たちばかりではありません。なんとか理不尽に立ち向かおうとしている人たちが相談に訪れます。私たちができることは、その人たちに「闘い方」を自らの経験から伝えることです。方法は、事案によって千差万別です。その中でも労働組合が必要になるケースは 極めて多いといえます。だから、一人でも加入できるその地域のコミュニティーユニオンを紹介することもしばしばです。
 これからいろいろな事案や思いを皆さんに伝えていきたいと思います。よろしくお願いします。