パワハラ・セクハラ



個別労使紛争の内訳の推移をみてみると、2011年までは解雇問題の件数が1位を占めていたのですが、2012年からパワハラ(嫌がらせ)がトップに躍り出ました。もっともあからさまでひどいケースでは、上司から「お前なんか役に立たん。邪魔だ。死んでしまえ」といわれたという訴えもあります。では、何がパワハラになるのでしょうか?20121月、厚生労働省は、パワハラの定義を「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適切な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」とし、パワハラに該当する具体的な行為として「身体的な攻撃(暴行・傷害)」「精神的な攻撃(脅迫・暴言)」「人間関係からの切り離し(隔離・仲間はずし・無視)」「過大な要求(できない目標の設定・不要な仕事の押しつけ)「過小な要求(仕事を与えない・担当ではない業務の強制)」「個の侵害(私的なことに過度に立ち入る)の6つの類型を示しました。この指針によって、労働者は「これはパワハラなんだ」と心を整理することができるようになりました。そして、会社には労働契約法第5条によって「安全配慮義務」が課せられますから、会社は、パワハラを放置することはできません。しかし、違法なパワハラかどうかの判断は最終的には裁判に頼るしかないのが現状です。だから、裁判しかないのかというとそうではありません。それぞれのケースに応じて、法務局や労働局へ相談する、組合に加入するなど解決の方法はあります。裁判は最後の手段です。

 セクハラの一般的な意味は、その意に反する、あるいは望まない性的言動です。その本質は、権力関係を利用した性差別あるいは性暴力です。そして、改正男女雇用機会均等法は、「職場において行われる性的な言動で女性労働者の対応によりその労働条件につき不利益を受けること、またはその性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されること」をセクシュアル・ハラスメント(以下セクハラ)と定義し、事業主に対し、「防止のために雇用管理上必要な配慮をしなければならない」としています。
 セクハラに該当する行為は、単に性的関係を迫るとかむやみに体に触れるなどの直接的な行為だけではありません。「下着のサイズは?」などの性的な冗談や質問、ヌード写真を張るなどの不快な環境、しつこく交際を迫ったり、宴会などでお酌を強要する、性的な噂を流すなどがセクハラに該当します。そして、セクハラを拒否したことによる不当な扱いも禁止されています。

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