2014年6月18日水曜日

経営者側の暴論に反論する1

残業代0や金銭解雇が盛り込まれた政府の新成長戦略の素案が発表されました。これについて、経営側のコンサルタントは相変わらず暴論でこれを肯定しています。少し反論してみましょう。
前提を要約すると「日本の現役世代は先進国で一番頑張っている。就業者一人当たりの成長率は先進国で一番高い。問題は、高齢者の比率が他国に比べ高すぎるからである。少子高齢化時代を迎えた日本で必要なことは生産性の向上である。現役一人あたりのGDPを押し上げる以外に方法はない」
さて、そもそもなぜ日本は少子高齢化時代を迎えたのでしょう。長生きをしているお年寄りが悪いのでしょうか?日本の社会が「安心して子供を産み育てることができない社会」だからではないでしょうか。年功賃金制度が定着していた時代には、賃金にはある程度、配偶者や子供を扶養するための生活給が含まれていました。一方でその生活給を守るためにはいわゆる「無限定社員」として会社の言いなりになるしかありませんでした。そこに能力・成果主義が導入されて勤続や年齢で賃金が上昇する時代は終焉を迎えました。普通に、まじめに働く労働者の賃金は上がらなくなりました。そして、1955年以降、非正規労働者が雇用の調整弁として大幅に採用されるようになり、今や3人にひとりは非正規労働者、正社員になることすら難しいという実態です。いわゆる「中間層」は激減し、格差が拡大しました。子供ができない第1の原因は「経済的不安」です。そして、この日本には、その経済的不安を支える「社会保障」がないのです。しかも、多くの会社は、未だに、妊娠や出産を迎えた女性社員を何とか口実をつけてやめさせようとしています。もし、現役世代が先進国で一番頑張っているのなら、なぜ、それに見合う賃金が保障されないのでしょうか?なぜ、それに見合う子育て支援がないのでしょうか?だから、前提は「一生懸命頑張っている現役世代の労働者の賃金を上げるか、家族も含めた将来の生活を国が保障するしか方法はない」でしょう。だから、残業代0や金銭解雇はだめなのです。(つづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿