解雇・雇止め・退職勧奨



 「有給休暇がほしい」と言ったら「明日から来なくていい」と言われた・・こんな相談がよくあります。経営者は自分の都合でいつでも労働者を解雇できると勝手に思い込んでいるところがあります。しかし、解雇は簡単にはできません。なぜなら、この国には弱い立場にある労働者を守る法律があり、それを支える人たちがいるからです。
 労働契約法第16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と明記されています。会社は気に入らない人間に対して、様々な理由をつけて解雇を正当化しようとします。しかし、整理解雇であれ、勤務態度不良であれ、能力不足であれ、職務命令違反であれ、「客観的に合理的であり、社会通念上相当でない」限り解雇は認められません。そして、よほどのことがない限り解雇は「合理的」とは認められません。また、即時解雇であれば、労働基準法に則って解雇予告手当を支給しなければなりません。だからこそ、知恵のある経営者は解雇をちらつかせながら退職勧奨によって合意を取り付けようとするのです。このようなケースに遭遇したら「自分から辞めるつもりはない」とはっきり意思表示して相談してください。

 有期契約で働いている労働者は、いつも「雇止め」の不安にさらされています。しかし、「契約期間満了で雇止め」は決して「仕方がない」ことではありません。有期契約を繰り返し更新している場合は、「契約期間満了」で簡単に雇止めすることはできません。20128月に成立した改正労働契約法第19条では、「有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合、又は労働者が有期労働契約の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合に、使用者が雇止めをすることに客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められず、したがって、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で『労働者による有期労働契約の更新又は締結の申込み』を承諾したとみなされ、有期労働契約が同一の労働条件(契約期間含む)で成立すること」とされています。つまり、労働者が、雇用継続を経営者名申し入れれば、よほどのことがない限り、経営者は従前と同じ条件で雇用を継続しなければならないということです。


 その他、解雇、雇止め、退職勧奨については、様々なケースが考えられ、それぞれきちんと対応をしていくことで解決できる場合も多いのです。

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