2014年4月23日水曜日

労働組合結成の成果

 今年に入って、ある福祉職場で労働組合が結成されました。人数は、まだ過半数に満たない中での旗揚げでしたが、使用者側との交渉を重ね、以下の事項について合意形成を図ることができました。

(労使関係について)
1、組合を団体交渉権限を持つ労働組合と認め、相互信頼に基づく正常な労使関係を築く。
2、労働条件に関する諸事項については、今後、すべて組合と協議し・交渉決定の上実施する。
3、組合員の解雇・処分、事業閉鎖や吸収合併等、労働条件に重大な影響のある事案について  は、事前に組合と協議・交渉決定し、一方的に行わない。
4、団体交渉に於いて確認した事項は、協定書を作成し、双方、署名・捺印を行う。
5、組合員の組合活動の自由を確認し、組合活動をしたことをもっていかなる不利益扱いもしない。
6、組合の施設利用に関しては、業務に支障のない限りこれを認める。

(労働条件他について)
1、業務量を常に把握し、適正な人員配置に努める。
2、賃金規定、昇給・昇格のルール、退職金規定、有期雇用者の昇給について早急に整備する。
3、透明性と公平性をもって人事管理を行う。

具体的な成果はこれからですが、まずは、労使対等の立場にたてたということです。使用者側の報復に恐れをなしていた過去からの解放です。これが一番ですよね。

2014年4月21日月曜日

ブルーマンデイ・・・出社拒否症候群

 月曜日の朝、会社に行くのが辛いと感じる人は結構多いと思います。日本では、月曜日の朝に重要な会議があったり、次から次へと1週間の打ち合わせが続くため、なおさらでしょう。でも、一旦お仕事モードに入るとブルーマンデイも何とか克服できる、これが一般的だと思います。
 しかし、4月は大きく環境が変わる月でもあります。新しい仕事や新しい人間関係になかなか慣れず、日々ストレスが蓄積されていきます。当然、仕事もうまくいかず、ミスも増え、自分に自信が持てなくなります。そして、ついには、出社時間が近づくと急に動悸が激しくなったり、通勤途上で吐き気がしたり、おなかが痛くなったり、身体に様々な出社拒否の症状が出るようになります。誰でも許容量を超えるとそうなる可能性があります。この状態になるともう、「気分」の問題ではありません。心の病にかかっています。病は治さなければなりません。無理をしてはいけません。自分が怠け者だとか考えないで、心療内科に行ったり、カウンセリングを受けたりして、まず、仕事ができる状態を取り戻しましょう。

2014年4月17日木曜日

辞めさせてもらえない?

 最近、「辞めたいと思っているのに会社が辞めさせてくれない。どうすれば良いか?」という相談が数件続いたので、少し説明をしておきます。基本的には、使用者が労働者を解雇するときは、法律の制約を受けますが、労働者は労働契約を一方的に解約することができます。これを一般的には「辞職」と呼んでいます。「辞職」は原則自由であり、使用者の承諾は必要ありません。ただし、期間の定めのある有期雇用の場合は、その期間労働者は「やむを得ない事由」がある場合にのみ、直ちに労働契約を解約できます。もちろん、使用者もその期間の雇用を保障しなければなりません。ほとんどの場合は、この「やむを得ない事由」として認められるでしょう。そして、雇用期間が1年を超えれば、期間の定めのない労働者と同じで、「辞職」の自由があります。
 では、どうやって「辞職」の意思を明確にするかですが、退職願ではなく、退職届を提出することです。その中に、○○月○○日を持って退職すると明記する必要があります。ただし、民法では627条で 原則として2週間の予告を要するとなっていますから、提出後2週間で効力が成立することになります。就業規則や労働契約で1か月前に予告となっている場合、退職の自由を不当に拘束しない限り、そのくらいの範囲なら有効とされるケースもあると思います。ただ、ほとんどの労働者は有給休暇が残っていると思いますし、有給休暇を申請すれば会社は拒否できません。次の仕事が決まっている場合や体調不良は「やむを得ない事由」ですから、就業規則等には縛られず、退職することができます。
 使用者が脅すのは「損害賠償を請求する」ですが、もちろん悪質な会社は損害賠償を請求してくるケースもありますが、それが認められることはほとんどありません。むしろ、会社が退職を認めなかった期間の賃金支払い命令が出されることすらあります。
 何も恐れることはありません。自分の意思を明確にしましょう。

2014年4月11日金曜日

配転拒否について

 今日は、配転について少しふれておきたいと思います。配転は、今や正規職員の常識となっています。配転命令が出され、これに納得できず拒否した場合、業務命令違反で解雇されることもしばしばあります。したがって、この場合、一旦配転を受け入れて、その上で配転命令の効力について争うという方法が一般的です。しかし、どうしてもこれを受け入れられない場合もあります。特に介護や育児が必要で転勤や残業に耐えられない場合です。
 そこで、配転がどういう場合に無効になるかチェックしておきましょう。まず、雇用契約で職種や勤務地が限定されていると認められる場合は配転は労働者の承諾が必要です。一方的な配転命令は無効です。そうでない場合は、労働契約や就業規則でその根拠が明確にされていることが必要です。たとえば、「会社が必要と認める場合は配転を命ずることがある」などです。
 しかし、配転命令権の根拠があったとしても、法律に違反する場合(たとえば組合活動を理由とした配転、就業規則の条項に違反している配転)、権利乱用があった場合は無効となります。
 権利乱用か否かの判断は次の要素を勘案して判断されます。
1、配転を行う業務上の必要性の有無
2、人員選択の合理性
3、配転命令が不当な動機や目的でなされているかどうか(たとえば、嫌がらせによる事実上の退職強要)
4、労働者に負わせる不利益の度合い
5、配転に向けた手続きが取られているかどうか(配転理由をきちんと説明しているか、充分に考える時間を取っているか)
 全体的には、配転命令を認める判決が多いのも事実です。しかし、黙っていても何も前進しません。少しの光明は、育児介護休業法26条で、育児・介護が必要な労働者についてはその状況を配慮することが使用者に義務つけられたことです。

2014年4月9日水曜日

ホームレスになるということ

 最近、ホームレスになるということが他人事とは思えなくなっています。自分がホームレスになるとは考えもしなかった人達が、気が付いたらホームレスに転落していたという話をよく耳にします。そこそこ年収を稼いでいた部長クラスの管理職が、経営悪化を理由に退職勧奨され、その時は「ピンチはチャンス」とばかりに転職を選んだが、転職先はなかなか見つからない。やむなく1年契約の契約社員として中小企業に入社、収入は1/3に。しかし、家のローンは残っており、子供の養育費にもお金がかかり、一度身についた中流生活はなかなか引き下げることができない。そうこうするうちに数年がたち退職金も底をついてついつい消費者ローンに手を出す。借金が徐々に膨らんで、とうとう妻は家を出ていく。借金の支払いのために家を売り、賃貸に入居しようとしたが入居審査に通らず、野宿の生活が始まる。そして、そこから抜け出せなくなってしまった。
 これって誰でもホームレスになりうるということですよね。まさに紙一重で持ちこたえているともいえます。各地域の反貧困ネットワークの方たちがこうした人たちを何とか支えようと相談活動やシェルターと呼ばれる一時避難施設を提供しています。
 先日ある仲間が相談に来ました。一人暮らしでワーキングプア(毎日真面目に1日10時間働いています)ですが、祖父が残してくれた土地と家があるため、貧乏でも生きていけます。土地と家の権利は叔父さんと半分半分でしたが、叔父さんが不動産会社に権利を売ったために今不動産会社と共有の住居をめぐって争いになっています。不動産会社の最終的な目的は彼の持っている土地と家の権利を売れということでしょう。この時もやはり「ホームレス」という言葉が頭をよぎりました。やはり、住む家を確保するということは、私たちにとっては大変重要です。住む場所がなくなったら就職すらできません。そして、独身やワーキングプアが住む場所は徐々に減り、貧困ビジネスが横行するのです。

2014年4月7日月曜日

ひょっとしてアベノミクスは寒い

 先週、私用で沖縄に行ってきました。そのため、電話相談もお休みさせていただきました。沖縄は暖かく天気もまずまずで快適に過ごしましたが、帰って来ると真冬に逆戻りしていました。桜も満開になり、春がようやく来たと思ったら、この天候。消費税が季節まで冷やしたのかと暗澹たる気持ちにさせられました。
 誰もが「アベノミクス」による景気回復に期待したと思います。それは、自分たちの生活が改善されることへの期待にほかなりません。
 アベノミクスの基本的な理論は、「大企業や富裕層が儲かれば、その成果が国民にも滴り落ちる」というトリクルダウン説です。だから基本政策は大企業、富裕層の支援です。
 皆さん、賃金は上がりましたか?生活は少しは楽になりましたか?3%はボディーブローのように徐々に効いてきます。アベノミクスは気分だけ「春」を感じさせてくれました。そして、次はこれまでよりもっと寒い冬を準備しているのではないでしょうか?
 私たちは本当の春を望んでいます。