2014年6月19日木曜日

経営者側の暴論に反論する2

そして、生産性を上げるためには、労働市場の流動化、労働力の柔軟な移動を可能とすることが必要不可欠と言います。つまり、儲からなくなった部門を早くたたんで、過剰となった労働者をさっさと解雇し、企業の再編強化を図ることが重要だというのです。だから、労働者は、転職市場に耐えるだけのスキルと能力を常に磨いておき、その能力を必要とする企業へ転職すべきだということでしょう。しかし、本来、儲からなくなるということは、その商品なりサービスが供給過剰になっているということです。その道でスキルや能力を磨いてきた人たちにとって、そう簡単に自分の能力が生かせる転職先が見つかるものではありません。だからこそ、企業は雇用をした責任として、本人の能力を発揮できる場所を自らの企業の中で最大限確保しなければなりません。それが、現在の整理解雇の4要件の「解雇回避努力」というものです。企業の縮小や再編による整理解雇が有効かどうかは、現状では、1、経営上、人員整理の必要性があるかどうか、2、解雇回避のための努力をしたかどうか、3、人選は合理的であるかどうか、4、きちんと説明を行ったかなどによって総合的に判断されます。だから、今でも解雇ができないわけではないのです。きちんとした経営上の理由があり手続きを踏めば有効と判断されるということです。ところが、いつも問題になる解雇は、企業がきちんとしたことをしないために起こります。法律はこれを規制しているのです。金銭解雇はこの規制をなくすものです。労働者はつまみ銭でいつでも簡単に解雇されます。
残業代0も同じような視点で語られています。「生産性を上げるためには企業が利益を上げられるように、効率的な仕事をしなければならない。いつまでたっても段取りを覚えようとせず、ちんたら残業の繰り返しで小銭を稼いでいるようでは、転職市場での商品価値はゼロになってしまう。だから、1000万円のバーは、今後、800万、600万と徐々に下げていかなければならない」一体、長時間サービス残業や過労死の実態はどこに捨ててきてしまったのでしょう。この人たちには「加害者」の意識はまるでないのです。残業をしている人間は、ちんたら残業代を稼ぐ人間としか映らないのです。
金銭解雇のターゲットは若者と中高齢者です。若者は、解雇ができないから採用が少ないのだといいます。とりあえず採用して使い物にならなければ少ない金額で解雇できるようになれば採用は増えるらしいです。採用は増えても、失業者が増えたのでは全く意味がないですよね。中高齢者を一人解雇すれば優秀な若者を3、4人雇用できるそうです。その一人がこれまでどれだけ会社に貢献してくれたのか考えたことはあるのでしょうか。この社会はどうなってしまうのでしょう。

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