2014年6月9日月曜日

追い込まれる労働者

 解雇や雇止め事件が起きた時、最終的には、使用者に対し「地位確認」を求めて裁判で争うことになりますが、できることなら裁判を避けて解決する方法はないかと誰もが考えます。労働局のあっせんや労働審判は、金銭解決を望んでいるときには有効ですが、今の職場で働き続けたいと考えている人にはあまりむいていません。こんな時に、私たちは、地域の合同労組(一人でも加入できる組合)に加入して団体交渉を申し入れるようにアドバイスします。使用者側と争うと仮に復帰したとしても使用者側の報復が怖いと考える人が多いのですが、組合に加入している場合と組合に加入していない場合では様相は全く違ってきます。組合に加入していれば、少なくとも組合員であるが故の不利益扱いは不当労働行為という法律違反に該当します。また、パワハラやいじめが起きた時に組合として交渉を申し入れれば使用者側はこれに応じなければなりません。交渉へは、必ず、合同労祖の役員が出席しますので恐れることはありません。組合があれば、少なくとも職場は無法地帯ではなくなります。
 組合と交渉して、それでも使用者側が不当な解雇や雇止めを強行した場合に裁判になります。しかし、裁判を決意することは、本人にとってなかなか大変なことです。地方の小さな町ではなおさらです。次の就職に不利になるのではないか、家族に迷惑がかかるのではないか、などと考えると簡単には踏ん切りがつきません。特に賃金の安い非正規労働者の場合は、「そこまでしがみつかなくても」と考えてしまします。自分に正義があってもやはり追い込まれるのは労働者に見えます。しかし、結果はどうなろうと「この解雇(雇止め)はおかしい」と行動を起こしたことには大きな意味があります。少なくとも使用者側は、これからは、できる限り違法な行為を避けるようになるでしょうし、もし理不尽な行為を続ければ第2の「あなた」が生まれるに違いありません。このような攻防を通して職場は少しずつ民主化されていくのだと思います。追い込まれていくのは使用者側も同様です。
 

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