2014年7月29日火曜日

労災に関するトピックス

 労災に関するトピックスを2件紹介します。
 6月27日、厚生労働省は、昨年度の「脳・心臓疾患・精神障害の労災補償状況」を公表しました。それによると、昨年の脳・心臓疾患の労災認定件数は306件となり、うつ病などの精神障害による労災請求件数は1409件と過去最多を更新し、認定件数も436件と昨年に次ぐ過去2番目となりました。2011年に労災認定基準が新しくなり、精神障害による労災認定がそれまでよりは迅速かつ効率的に認められるようになったことが一因ですが、一方で、仕事によるストレスでうつ病を発症する人が増えているといえます。引き金になっている要因の上位は、「仕事内容・仕事量の変化」「嫌がらせ・いじめ」などです。
 その1週間前の6月20日、「過労死等防止対策推進法」が可決、成立しました。 この法律では、過労死等の防止が国の責務として定められ、地方公共団体や事業主には対策に協力する努力義務が課せられています。実効性を確保するためには、まだまだ不十分ですが、過労死問題を国民的課題とするための第1歩を踏み出したといえます。

2014年7月22日火曜日

リコー遂に敗北宣言

 7月19日、リコーが退職勧奨を拒否して配転・出向を命じた100人の社員に対する命令を撤回しました。事の起こりは、2011年、リコーが10000人のリストラを宣言したことに始まります。会社は、希望退職に応じなかった45歳以上の社員1600名に執拗に退職を強要し、それでも辞めない社員を「追い出し部屋」や子会社に出向・配転しました。その中の2名が「不当人事」で会社を提訴し、今年1月に東京地裁で「配転無効」の判決が下されました。会社は控訴していましたが、上級審でも判決は変わらないと判断し、遂に、命令を撤回しました。
 今回の裁判とその後の経過は、「人事権」として広く認められている総合職の配転について、決して会社が思い通りにできるわけではないことを 明らかにするとともに、パナソニックやベネッセでも問題になっている「追い出し部屋」について警鐘を鳴らしました。
 労働問題での裁判が原告だけでなく広く苦しんでいる労働者に展望を与えることがあるということについても再確認させられました。
 久々にうれしい出来事でした。