労働契約法
1、労働契約法の趣旨
労働基準法・・労働条件の最低基準を定め、罰則を持って当たる強制法規
労働契約法・・個別労働関係の安定・紛争を防ぐ目的の民事法。従って、罰則無し、行政指導機関無し、過去の判例法理をまとめ法制化したもの。
労働者と使用者の概念
労働者・・・労組法上>労基法上=契約法上
使用者・・・労組法上>労基法上>契約法上
2、第3条 労働契約の原則(5原則)
①労使対等の原則
②均衡配慮の原則
③仕事と生活の調和への配慮の原則
④信義誠実の原則
⑤権利濫用の禁止の原則
3、第4条 労働契約内容の理解の促進
1項で使用者の事前、事後の労働条件明示義務、あるいは労働者の求めに
対する説明義務を定めた。
対する説明義務を定めた。
2項では書面による確認を明記、とくに期間の定めのある労働契約につ
いて書いているのは労働省告示第357号(別紙)が含まれる。
いて書いているのは労働省告示第357号(別紙)が含まれる。
4、第5条 安全配慮義務
使用者に安全配慮義務があることを法律で明記した。
5、第6条 労働契約の成立
労働者が使用者に使用されて労働し、使用者が賃金を支払うことの合意で労働契約が成立する原則を明記、また民法上の「請負」「委任」であっても契約形式にとらわれず実態として使用従属関係が認められ「労働者」に該当する場合は労働契約になる。
6、第7条 就業規則の位置付け
合理的で、周知がされた就業規則が労働契約となること、就業規則を上回る内容で合意した労働契約は有効であること。
7、第9条 合意なき不利益変更の禁止
就業規則の変更によって労働者個々の不利益変更を合意なしにはできない原則。
8、第10条 9条の但し書き部分
労働条件の不利益変更が就業規則の変更によってできる場合の条件を明記
周知・不利益の程度・変更の必要性・変更内容の相当性・組合との交渉状況
等に照らし不利益変更が合理的であればできる。
9、第11条・12条・13条
労働契約よりは就業規則が優位であり、就業規則より労働協約が優先することを明記 労働契約<就業規則<労働協約
10、14条、15条、16条
出向、懲戒、解雇について、使用者の合理的理由を欠き、社会通念上認められないものは権利の乱用として無効。16条の解雇権の乱用は労働基準法から移る
11、17条期間の定めのある労働契約
1項で、契約期間内の解雇禁止(やむをえない事由があればよい)
2項で、短期間の労働契約で、反復更新をしないことの配慮義務(別紙)
パート労働法
「パート労働者の定義」
1週間の所定労働時間が同一の事業に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者。「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、呼び方は違ってもこの条件にあっていればパート労働法が適用される。
「通常の労働者」とは、正社員がいれば正社員、いなければフルタイムの基幹労働者、それもいなければ一番労働時間が長い人(別紙)
1、雇い入れの際、労働条件を文書等による明示
第6条 労基法の明示義務意外に「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の明示は義務(罰金10万円以下) 上記3項目以外の条件の明示は努力義務
2、待遇決定についての説明義務
第13条 パートタイム労働者から求めがあったらその待遇を決めるに当たって考慮した事項を説明しなければなりません。義務
説明で納得できないとき=紛争状態という
3、パートタイムから通常労働者への転換
第12条 転換促進の措置を講じることの義務化
・ 通常の労働者を募集するときパートへも周知
・ 通常の労働者のポストを社内公募する場合パートにも応募の機会を。
・ パートから通常の労働者への転換制度の導入。
・ その他通常の労働者への転換推進の措置
4、均等待遇の確保と推進。
第9条の1 通常の労働者との均衡を考慮し、パート労働者の職務の内容・成果・意欲・能力・経験を勘案して決める。 努力義務
第9条の2 通常の労働者と比べて、仕事の内容が同じで、人材活用の仕組みが同じ場合は賃金を同じ方法で決定すること。 努力義務
(例えば正社員に定期昇給がある場合はパートにも定期昇給制度を設ける。)
第10条 通常の労働者とパート労働者の仕事の内容が同じとき、その仕事をする上で必要な教育訓練を通常の労働者が受けている場合は、パート労働者にも同じ教育訓練を実施すること。義務
業務遂行上の教育訓練以外の訓練は努力義務
第11条 「給食施設」「休憩室」「更衣室」の利用は、パート労働者にも同様の利用機会を与える。 義務
第8条 差別取り扱い禁止
通常の労働者と同視すべきパート労働者の差別的取り扱い禁止
同視すべき労働者とは
・ 職務の内容が同じ
・ 人材活用の仕組みや運用が同じ
・ 契約期間が実質的に無期契約
(別紙表)
5、苦情処理・紛争解決の援助
第19条 事業主はパートタイム労働者から苦情の申し出があれば自主的な解決を図るよう勤める。 努力義務
第21条 各都道府県労働局長は労使双方又は一方からの紛争解決の援助を求められたら必要な助言、指導又は勧告ができる。
第22条 各都道府県労働局長は労使双方又は一方から調停の申請があった場合、必要と認めるときは「均等待遇調停会議」に調停を行わせるものとする。
いずれも申し入れをしたことを理由に不利益な取り扱いは禁止されている。
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