2014年3月6日木曜日

多様な働き方について

 先日、大学を卒業して1年目の青年が相談に来られました。彼は、卒業後ある会社に正社員として就職したものの、その会社は、毎日、全員が正座して会議を行い、足がしびれて体が揺れると、大声で罵倒され、社員がまるで奴隷のような扱いを受けるそうです。まさにブラック企業です。ほとんどの新入社員は、1週間くらいで辞めたが、彼は3か月頑張ったのだと言います。しかし、耐えられなくなって彼もまた、会社を辞めます。その次に彼が選んだ雇用形態は正社員ではなく、有期雇用の契約社員でした。「もう正社員になるのは怖い」というのが、彼の率直な気持ちです。彼の今の目標は「1年間辞めずに頑張る」だそうです。
 はて、この話は、一部のブラック企業の話なのでしょうか?非正規労働者の話をするとき、よく出てくる意見は、「彼らは自分でそういう働き方を選んで、納得の上で働いているのだから、賃金や労働条件が悪くても仕方ない」 です。もちろん、正規職員の採用がなかったという人もかなりのパーセンテージで存在しますが、半数以上の人は、確かに自分で選んでいます。
 なぜ、非正規の道を選ぶのか?ブラック企業とはいえない会社の正社員の皆さんの働き方はどうなっているでしょうか?日々、ノルマと責任を負わされ長時間労働は当たり前、広域配転も当たり前、介護が必要な親がいようが、幼い子供がいようが関係なし。あらゆる仕事に対応しなければ「能力がない」と査定され、賃金は下がり、あげくのはて「リストラ部屋」へ。そして、それは、今の日本の正社員の世界では常識なのです。だから、そういう働き方ができない人たち、特に、家事、育児を一手に任されている女性は、非正規の道を選ぶしかなかったと言えます。もっとも、今は、家の事も仕事もこなす女性もいますが、それはごく一部で(ずいぶんもてはやされますが)、ほとんどの女性にとって、男性と同じ能力社会で働くことは過酷なことなのだと思います。
 「多様な働き方」が本当の意味で選択できるようになるためには、正規職員の「無限定」な「働き方」を変えていくしかないのではないでしょうか。

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